がな

がな
I
がな
(副助)
〔疑問の係助詞「か」に詠嘆の終助詞「な」が付いてできたもの。 中世から近世へかけての語〕
文中の種々の語に付いて, 漠然とさし示すのに用いる。
(1)(疑問を表す語句とともに用いて)不定の意を表す。 …か。

「何~取らせんと思へども, 取らすべき物なし/宇治拾遺 9」「何として~是れをかへさうと思うて/蒙求抄 4」

(2)漠然と例示する意を表す。 …でも。

「又仕事誂ひに~参つたもので御座りましよ/歌舞伎・好色伝授」「いやそれは私寝言~申したか/浄瑠璃・重井筒(中)」

〔この語は, 終助詞の「がな」から転用されたものともいわれる〕
II
がな
(終助)
〔願望を表す終助詞「が」に詠嘆を表す終助詞「な」が付いてできたもの。 上代の「がも」に代わって, 中古以降用いられるようになった語〕
(1)体言または体言に助詞の付いたものに付いて, 願望の意を表す。 …がほしいなあ。 …があってくれたらなあ。

「さらむ者~。 使はむとこそおぼゆれ/枕草子 300」「あぱれ, よからうかたき~。 最後のいくさしてみせ奉らん/平家 9」

(2)命令または禁止を表す文に付いて, 第三者の動作の実現を願う意を表す。 中世以降の用法。 …てほしいなあ。 …てくれたらなあ。

「橋へまはれば人が知る, 湊の川の塩がひけ~/閑吟集」「早ういね~, いね~, ともがけど, いぬる気色なく/浄瑠璃・今宮心中(中)」

〔上代における願望の終助詞「もがも」は, 平安時代には「もがな」の形で用いられたが, 「もがな」は「も‐がな」と意識されたところから, 平安時代の半ば以降, 「がな」が切り離されて用いられるようになり, 中世以降は「がな」がひろく用いられるに至った〕
III
がな
(連語)
〔終助詞「が」に詠嘆の終助詞「な」の付いたもの。 「がなあ」の形でも用いられる〕
(1)事実の反対の事柄や実現性のあまり期待できない事柄を実現させたい気持ちを詠嘆的に言い表す。

「おこづかいがもっと多いといいんだ~」「もうそろそろ梅も咲いてくれると思うがなあ」

(2)感動の意を表す。

「抜き差しならぬ此二百匁, 有る所には有らう~/浄瑠璃・油地獄(下)」

(3)念を押したり詰問したりする気持ちを表す。

「やい阿呆, 伴右衛門様は吉原であらう~/歌舞伎・富士見る里」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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